特定技能とは?外国人就労を検討する企業が知っておきたい基本
人手不足が続くなか、外国人就労の受け入れを検討する企業が全国で増えています。採用活動を続けても応募が集まらない、若手人材が定着しない、繁忙期の人員確保が難しい。こうした課題を抱える企業にとって、在留資格「特定技能」は有力な選択肢の一つです。
一方で、初めて外国人材を受け入れる企業からは、「どのような資格なのか」「何年働けるのか」「給与はどう決めればよいのか」「期間満了後は必ず帰国するのか」といった不安の声も多く聞かれます。特定技能は、単に人手不足を補うための制度ではなく、一定の技能を持つ外国人材に適正な雇用環境を用意し、企業の戦力として活躍してもらうための制度です。
■特定技能とはどのような在留資格か
特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。出入国在留管理庁では、特定技能制度に関する運用要領や提出書類、分野ごとの情報を継続的に更新しています。制度内容は変更されることがあるため、受け入れ企業は最新情報を確認しながら準備を進めることが大切です。(法務省)
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。
特定技能1号は、
相当程度の知識または経験を必要とする技能を持つ外国人が対象です。
特定技能2号は、
より熟練した技能を持つ外国人が対象で、分野によって移行の可否や要件が異なります。
■何年働くことができるのか
企業が特に気になるのが、雇用できる期間です。特定技能1号の場合、在留できる期間は通算で原則5年までです。つまり、一定期間にわたって外国人材に働いてもらうことはできますが、無条件で長期雇用が続く制度ではありません。
一方で、要件を満たして特定技能2号へ移行できる場合は、より長期的な就労につながる可能性があります。そのため、受け入れ企業は採用時点から「5年だけの人材」と考えるのではなく、本人の技能向上、キャリア形成、社内での役割づくりを見据えて受け入れることが重要です。
■給与はどう決めるべきか
特定技能の外国人就労で誤解されやすいのが給与です。特定技能外国人は、安く雇うための人材ではありません。受け入れ企業には、外国人と結ぶ雇用契約が適切であることが求められており、報酬額は日本人と同等以上であることが基準として示されています。 (外務省)
つまり、同じ業務、同じ責任、同じ勤務条件で働く日本人従業員がいる場合、給与水準に不合理な差をつけることはできません。基本給、残業代、休日手当、社会保険、賞与の有無なども含め、社内の給与体系と照らし合わせて整備する必要があります。
外国人材に長く活躍してもらうには、給与だけでなく、評価制度も重要です。仕事を覚えたらどのように昇給するのか、資格取得や技能向上をどう評価するのかを明確にしておくことで、本人のモチベーション向上や定着につながります。
■期間満了後は必ず帰国するのか
特定技能1号の通算在留期間が満了した場合、そのまま同じ資格で働き続けることはできません。
そのため、要件を満たさなければ帰国が必要になるケースがあります。
ただし、必ず全員が帰国するというわけではありません。分野や本人の技能、試験合格状況、企業側の受け入れ体制などによっては、特定技能2号への移行や、別の在留資格への変更が検討できる場合もあります。受け入れ企業としては、期間満了が近づいてから慌てるのではなく、早い段階から本人と今後の働き方について話し合うことが大切です。
■継続して働くための手続き
特定技能外国人が継続して働くためには、在留期間の更新や在留資格変更など、出入国在留管理庁への手続きが必要です。企業側は、雇用契約の内容、業務内容、給与、支援体制などが適切であることを確認し、必要書類を準備します。
また、特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、支援計画の作成と実施が求められます。支援には、入国時の案内、生活オリエンテーション、行政手続きの補助、相談対応、日本語学習の機会提供などが含まれます。
これらの支援は自社で行うこともできますが、登録支援機関へ委託することも可能です。
外務省も、受け入れ企業には支援計画の作成や入国から帰国までのサポートが求められ、登録支援機関に委託できると説明しています。(外務省)
■受け入れ企業の準備で大切なこと
特定技能の受け入れで成功する企業は、採用前の準備を丁寧に行っています。
まず必要なのは、任せる業務の整理です。どの作業を担当してもらうのか、必要な技能は何か、日本語での指示はどの程度必要かを明確にします。
次に、社内体制の整備です。
現場責任者、教育担当者、相談窓口を決めておくことで、受け入れ後のトラブルを防ぎやすくなります。就業規則、給与体系、労働時間、休日、住居、生活支援についても、事前に確認しておく必要があります。 さらに大切なのは、外国人材を「一時的な労働力」として見るのではなく、会社の一員として迎える姿勢です。
文化や言語の違いはありますが、丁寧な教育と適切なコミュニケーションがあれば、現場に欠かせない人材として成長していきます。
■まとめ
特定技能は、人手不足に悩む企業にとって、外国人就労を現実的に検討できる在留資格です。ただし、制度を正しく理解しないまま受け入れると、給与、支援体制、在留手続き、定着面で課題が生じる可能性があります。
受け入れ企業に必要なのは、「人が足りないから採用する」という考えだけではありません。適正な給与、安心して働ける環境、継続雇用を見据えた手続き、現場での教育体制を整えることが大切です。 特定技能の受け入れは、企業にとって新しい人材確保の一歩であり、外国人材にとっても日本でキャリアを築く大きな機会です。不安がある企業ほど、制度の基本を理解し、自社に合った準備から始めることが成功への近道です。


